原薬・中間体製造プロセスにおける課題と対策2019 書籍+CDセット
 〜スケールアップ、GMP、ICH、PIC/S、同等性評価、生データ、新薬開発、受託製造、
 ジェネリック医薬品の動向〜
= 刊行にあたって =
 医薬品を取り巻く環境は日々変化し、最近は抗体医薬品の目覚ましい開発もあり、新薬開発競争はアンメット・メデュカルニーズを対象としたグローバル規模での激しいものがある。20世紀の終わりごろから始まった欧米での大型M&A、21世紀になって日本で起こった大型M&Aは製薬業界の構成に大きな変化をもたらし、新薬開発の流れもベンチャー企業からのシーズ獲得、更に企業間のプロジェクト共同開発など従来になかった開発の加速化を目的とした流れが起った。最近の自国第一主義による貿易摩擦や英国のEU離脱という想定外の出来事に国レベルの問題が企業に及ぼす影響力の大きさにも改めて思い知らされる時代となった。一般に医薬品の開発には15年近い歳月がかかる。特許切れ前までに如何に開発コストを回収し、それらの利益で次期新製品開発コストを捻出するかという課題は企業としては当然のことながら最重要課題である。スケールアップしていく過程の重要性は原薬・中間体製造をいかに効率よく短期間に仕上げ、コスト面でも優位に立てるようにすることであり、スケールアップ時の問題点の把握とトラブルシューティングを計画的な実験に基づくデータ解析により解決していくことである。医薬品が故に品質を厳しくコントロールする目的でGMP(Good Manufacturing Practice)という規制があり、GMP管理下で製造を行うということは、スケールアップの手法にも一般の製造法とは異なる厳しい管理が生じる。製造された医薬品がどのように世界で受け入れられているのか医薬品業界の現状と動向についても解説を加え、製薬業界の課題と今後の展開、新薬開発状況と付随する治験薬GMP、更にジェネリック医薬品、AG(オーソライズドジェネリック)、バイオシミラー、抗体医薬品、受託製造企業や種々の薬事規制問題(ICH,PIC/S等)に関しても触れる。IT、AIという言葉が確立された現代、コンピュータの使用無くしては現在の社会は成り立たない。「データインテグリティ」という言葉を頻繁に聞くようになったのも最近のことでデータ取り扱いの信憑性に関する企業ぐるみのモラルが求められている。品質で勝負してきた多くの企業がコスト面でも対等に戦えるようになるか、それは本題であるプロセス化学の成果をいかんなく発揮できるか否かにかかってきている。世界の動向を知り自分の仕事がどのような立ち位置にあるのかを理解した上で仕事を進めることが問題解決の大きな糸口になる。私の経験からスケールアップを取り巻く製薬業界の多方面の情報を取り入れ、総合的判断に基づき有効活用してもらえるようにした。本書での知見や情報が少しでも読者の参考となり仕事の上で役に立てば幸甚である。

2019年1月 橋本光紀
原薬・中間体製造プロセスにおける課題と対策2019 書籍+CDセット
〜スケールアップ、GMP、ICH、PIC/S、同等性評価、生データ、新薬開発、受託製造、
ジェネリック医薬品の動向〜
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