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はじめに
現在,生活環境の中に占める高分子材料の役割は極めて大きい。
電気電子機器,OA横器,自動車,建築,繊維製品,各種目用品等多くの製品に高分子材料が使われている。それは高分子材料が作り易く使い易いからである。しかしながら高分子材料には唯一の欠点がある。それは燃えやすいことである。
そのため世界的に火災事故における危険性を考慮して難燃性規格を定め安全性試験に合格する製品の使用を義務ずけている。そのため汎用プラスチック,エンジニアリングプラスチック,合成ゴム,各種繊維等に難燃材料が使用されており,そこに難燃化技術が貢献している。
現在,日本国内では毎年火災事故により約2000人が死亡し,多額の損失をだしており,難燃化技術の社会的な役割が益々重要になってきている。
現在の難燃性高分子材料は,燃えにくいばかりではなく,物性,長期安定性と共に環境安全性,リサイクル性に優れていることが要求されている。
今回,このような要求に答えるために最新の難燃化技術の開発に従事しているエクスパートにお願いして難燃化の最新技術を中心にした本書を刊行する運びになった。
本書は,難燃化技術の基本技術を考察しながら,環境問題,リサイクル問題,難燃性バイオ材料,ナノコンポジット難燃材料,高難燃材料等最近の新しい展開を内容に盛り込んだことを特徴としている。
本書は,難燃材料の研究開発に携わる技術者のみならず設計技術,営業技術,営業,製造技術関係者の皆様にも大いに役立つものと確信している。
最後に,出版にあたり多大の協力を頂いた真勢正英氏をはじめ関係者の皆様に厚く感謝の意を表する次第である。
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2006年5月 西澤 仁 |
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