CFRPの用途別動向とビジネス戦略の再構築
= 刊行にあたって =

 CFRPは航空宇宙、自動車、風力発電、圧力容器分野を中心に市場拡大が進んできた。

 航空宇宙分野では、旅客機および貨物機の納入機数が2018年まで8年連続で増加してきたのに続き、今後約20年間で就航機数は倍増するとの期待が寄せられていた。これに伴い、CFRPは製造機数の増加に加え、燃費向上ニーズに対応してますますその採用が増えると期待されていた。しかし、COVID-19パンデミックにより環境は一変し、民間航空分野は危機的な状況に陥った。

 自動車、風力発電、圧力容器分野もCOVID-19の影響を大きく受けている。
一方で、CFRPが採用されてきた理由でもある燃費向上・CO2削減ニーズの継続に加え、カーボンニュートラルの考えがますます具体化されるにつれて、再生可能エネルギーやクリーンエネルギー利用の潮流がさらに強くなり、風力発電、水素ガス利用の社会的要請に対応するCFRPの採用増が進む環境が整ってきている。

 さらに、空飛ぶクルマのような新しいCFRP市場も具体化に向けて進んでいる。

 また、量産乗用車へのCFRP採用が視野に入ってきた現在、CFRPのリサイクルの重要性が強く求められるにようになってきている。

 このような状況に対応する、CFRPの需要家・サプライチェーンの動向をまとめた。

平野康雄
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