発泡成形・中空成形・圧空成形の量産実施に向けての準備と、環境負荷低減の具体的な手段の解説
= 刊行にあたって =

☆本書を読破し、内容を十分理解すれば、直ぐにでも発泡成形、中空成形、圧空成形の量産が開始できるようにしてある

今回活字にする事とした理由は、
1)発泡成形が注目される中、個々での発泡成形の技術説明を行ってきた中で、殆ど技術内容を知らない。
 ・気体を発泡剤として用いる発泡成形を「物理発泡」と称し、化学発泡剤を用いた発泡成形より優れていると思い込んで、誤認している方々が多く、
 ・本来「コア・バック」開発の経緯を知らずにコア・バックと言う何かしら新しい力(パワー)を持ち、別の新しい分野、部品へ展開が可能なように思われている方々、
 ・現在も気体の「超臨界状態」が、発泡成形には欠かせない内容と勘違いをし、思い込んでいる方々、
 ・ガス・カウンター・プレッシャーは、どこでも、誰でもが簡単にできる技術、単に金型に気体を入れるだけ・・・と思い込んでいる方々、
 ・化学発泡剤を用いた発泡成形品に塗装を施す場合、使用可能な化学発泡剤は何であるか・・・?その場合マスター・バッチに起因する塗装のトラブルの認識がない方々が多く、
 ・最近開かれたプラスチックの展示会(2021年秋)でも満足な発泡成形品を得る手段の実演がなされていない、
など発泡成形の将来が危ぶまれている中、その解決の手段として発泡成形に関して最終の量産の実施の形態を示した。

2)中空成形は1990年から毎週学会には論文が発表され、多くの材料メーカーが、多くの成形加工メーカーが各々の技術でのライセンス契約をしたが、現在は殆どが中止している。
 ところが中空成形は、反り・変形の少ない、寸法精度の高い成形品が、一般成形よりも小さな成形機で、然もハイサイクルでの生産が可能、成形品の重量も5重量%〜10重量%程度の軽量化(材料費削減)が可能、このような成形品が誰でも簡単に、容易に得られる事のメリットは忘れ去られ、現在殆ど実施されていない。
 このように中空成形が間違った方向に誘導されてしまった理由は中空成形に用いるガス設備が余りにも陳腐で、トラブルが多かった事、ガスチャンネルと言う誤った技術が先走り、誤認された事などが衰退と中止の主たる理由で、このように誤認させた当時の技術担当者の責任は大きい。
 当時から中空成形の技術レベルを十分に精査し、分析して、その大きな技術的な価値を正しく評価し、多くのメーカーが採用していれば、大きな環境負荷の低減になったに間違いない。環境問題が注目される中、今一度中空成形の復活を考えてもよいのでは・・・と提案する。

3)コスト・ダウンを狙って成形品の薄肉化が進んでいるが、薄肉成形品のヒケを全く出さず、反り・変形なしに、寸法精度の高い成形品を、成形機のランク・ダウンして、ハイサイクルで、省エネルギーで実施できる手段が圧空成形で、射出成形加工(:保圧)の新しい手段(;ガス保圧)として提案する。将来このガスを用いた方法(圧空成形)が、射出の標準となる事は十分に考えられる。

4)環境問題、省エネルギー、樹脂の使用量削減、そしてプラスチック・リサイクルに対してはどこの企業でも大きなテーマとして取り上げられているが・・・、具体的な活動は見受けられない。省エネルギーは、樹脂の使用量削減の具体的な手段を、発泡成形、中空成形、圧空成形で示した。プラスチック・リサイクルの課題(色、物性、寸法)の技術的な解決の手段は具体的に説明した。将来回収された成形品を簡単に種別し、分別する為の、将来のリサイクルに向けての準備は今開始した方がよいと提案しておく。

鈴木康公、新保 實
発泡成形・中空成形・圧空成形の量産実施に向けての準備と、
環境負荷低減の具体的な手段の解説
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