発刊にあたって

 二十一世紀を目前にして,騒音・振動を業とする者をとりまく環境は激変期を迎えようとしている。最近では,環境問題にとどまらず,各種工業製品も基本的な性能に付随して,騒音・振動がいかに小さいかと音質などがトータル品質の一つの重要な指標にもなってきており,こういった要求に対しては設計段階から適切な取り組みをとらなければならない時代となってきた。
 したがって,これからの現場実務者と設計者は騒音と振動の発生と伝搬のメカニズムについて,総合的,有機的に理解し,対策や設計により反映していくことが最も経済的,効率的な結果が得られるといえる。
 このような状況に鑑み,本ハンドブック編集委員会は,騒音を空気伝搬音と固体伝搬音の複合的な作用によるものという視点を重視し,現場実務者と設計者に役立つ実用的ハンドブックとして,このたび本書を上梓することとした。各分野の第一人者に執筆をお願いし,音と振動の関係を明確にしつつ,それぞれの低減法の原理と低減材料を対応させながら分かりやすく解説し,さらに′二甘」こ理解を深めていただくために具体的な事例をできるだけ多く盛り込んだ。過渡期にある法規制や規格にもできるだけ対応することを心がけているが,ISOとの関連で万全でないところはご容赦いただきたい。
 また,従来のハンドブックでは単なるデータ集にすぎなかった資料編については,時代の要求により応える形として,各メーカーのカタログの主要部分をCD-ROM化し,主要材料メーカーの材料情報を収録,騒音や振動の低減に必要な最適の材料を選択しやすいように工夫している。さらにメーカーの材料の違いを同一画面上で判別することが容易となり,現場実務者と設計者に役立つ実用的ハンドブックとなっている。ご協力いただいた各メーカーには紙上を借りて謝意を表したい。
 本書を,騒音・振動に携わる方々のみならず,建築,土木,機械,電気,電子機器関係の実務者,設計者にとって,時代の要求に素早く対応するための的確な指針として提供させていただくとともに,関係各位の積極的なご活用をお願いする次第である。
平成12年4月  現場実務者と設計者のための実用騒音・振動制御ハンドブック編集委員会 : 飯田 一嘉
大橋 心耳
岡田  健
麦倉 喬次
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