デザイン科学はデザイン(設計)行為に関する知の統合を
図ることで,その法則性の解明およびデザイン行為に用い
られる知識の体系化を目指す学問である.そして、デザイ
ン行為は人々や社会のさまざまな潜在的・顕在的ニーズを
物質的なモノや情報システムなどのコトに写像する行為――
人文・社会科学の問題を自然科学の問題に変換するという
行為であり,その解明を目指すデザイン科学は,まさに
文理にまたがる学問領域といえるだろう。
本書は日本デザイン学会をはじめとする日本のデザイン
研究をけん引する諸学会の研究者を多数執筆者に迎え、
デザイン科学の理論・方法論から分析・発想・評価法まで、
見開き完結の項目で取り上げる。モノ・コトづくりの現場
のみならず数多くの分野で注目され、多義化が進むデザイ
ンという行為の解明に、現時点でのデザイン科学の基盤と
全体像を見渡しその基盤を確立しようとする本書が寄与
することを願う。
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