水は各分野に関係があるため、水に関する技術書は“海洋深層水”“機能水”“水浄化技術”など数多く出版されている。 しかしながら、水を物質・材料としてとらえ、それら水の特性・機能をどのようなニーズに対応させるかについての成書は数少ない。
本書は水の基礎的知見と重要技術・先端技術を横断的に取り上げ、水にかかわる研究・開発技術者の方々に専門分野はもちろんのこと関連する分野の技術情報を的確につかめるように編集委員会を設置し、各方面の編集委員の意見をとりまとめ編集したものである。
本書ではまず、水の基礎的物性を明らかにしたうえで、磁気・電磁波・紫外線・化学・生物処理水、赤外線、電解水、膜分離技術、超臨界水などの応用技術をまとめている。
さらに、現在、水とのかかわりで非常に大きな関心がもたれている“ヘルスケア”について、人間の健康と暮らし・予防医学・皮膚と水についての基礎的知見をまとめ、酸性電解水・引用アルカリ性電解水の検証と応用、温泉治療・スポーツドリンクの効用・味覚センサーによる水評価など注目される技術についても取り上げている。
水における先端応用技術では、昨年の愛知万博の展示や今春開かれた京都の国際会議での発表で注目を浴びた可視光光触媒による水の完全分解や水と光触媒による都市温暖化緩和などを取り上げ、さらにテラヘルツ、モザイク荷電膜、加熱水、凍結処理、切削研削油剤代替、ESR分析、マイクロバブルオゾン水の農業への利用などが解説されている。
水環境浄化技術では紫外線や光触媒による最新の浄化法、農業における光触媒を利用した水浄化などの重要技術についてもとりあげ、また、水資源と水質管理についてもふれられている。
以上のような内容の水の成書はこれまで上梓されていないので、本書は水に関係している研究者・技術者・営業技術者はもちろん、これから水を勉強する方々にも役立つものと考えている。
平成18年7月吉日 編集代表 OHT技術士事務所長 工学博士、技術士(電気・電子) 大森豊明
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