発刊にあたって

 HACCPシステムが国際的に広く取り入れられつつある中,わが国においては平成7年の食品衛生法改正に伴い,総合衛生管理製造過程の承認制度の中にHACCPシステムを取り入れることにより,食品衛生法の中にHACCPシステムを位置づけました。
 その承認制度は,製造基準が定められている食品の製造加工を対象としており,現在,乳・乳製品,食肉製品,容器包装詰加圧加熱殺菌食品(レトルト食品),魚肉練り製品に適用,順次実施されつつありますが,今後はさらにその他の食品にも適用されることが予定されています。また厚生省は,これら以外の食品の製造加工についてもHACCPシステムに基づく衛生管理を行うことを推奨しています。
 こうした状況下においてHACCPシステムに基づく衛生管理の手法については,食品の製造加工業を中心として高い関心がもたれ,その解説書や教本が求められています。また,先に厚生省よりHACCPシステムについての教本が作成されましたが,これはHACCPシステムの原則と一般的方法の記述に留まるものであるために,個々の食品の製造過程における衛生管理にHACCPシステムを適用するには,さらに具体的な方向に踏み込んだ教本が求められるであろうことは予測に難くありません。
 こうした背景を踏まえて,今回製品については特に承認対象以外のものを例に,厚生省の示すHACCPシステムに基づく管理の方法に沿いつつ,衛生管理計画の作成とその実施を可能とする,より実践的な教本を出版することを趣旨としています。
1998年1月  監修 熊谷 進
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